2017年8月29日 新垣槇子さん(教育実習生)の授業 

2017年8月29日(火)

琉球大学附属小学校5年3組
授業者:新垣槇子さん(教育実習生)

 

本時の学習
〇世界には様々な文字があることを知る。
〇31~100の数の言い方を知る。

【授業の展開】
<挨拶・導入>
Today is a special day. Today is Michael Jackson’s birthday.

<展開>
マイケルジャクソンにはいろんな国から誕生日カードが届く。
マイケルジャクソンに届いた誕生日カードをもとに,様々な国の言語を紹介。文字を指さしながらどの国の文字かを当てさせる。
児童の要望によってロシア語,中国語,タイ語等の発音をする。

How old is he?
When he passed away he was fifty. そしてもし生きていたらと考えて51,52,53…の数字を導入。This year he would be 58.

<Number Quiz>
1.ブルゾンちえみのCMをみせて 〇〇億?
2.階段の写真を見せて,何段?
3.明石家さんまの写真。年齢は?
4.小池百合子さんの写真。年齢は?
5.How tall am I?
6.世界一高い男の写真を見せて,何メートル何センチ?
7.かじまやーは何歳?

<Number かるた>
言われた数字をカルタのようにとる。
4人グループでカルタ。三角の図形に入った数字は繰り返す。丸の図形に入った数字は取る。

<まとめと振り返り>
指導者の数字を聞いて文字で書く。
本時の振り返りを行う。

【授業へのコメント】

<良かったところ>

〇授業が初めから最後まで英語で進められていた。しかも児童とのやり取りも全て英語であった。高等学校の英語は現行学習指導要領では「英語で進める」ことになっている。新しい学習指導要領では,中学校でも「英語で進める」ことになった。小学校では,指導者の英語使用については言及していないが,次の学習指導要領(2030年)では小学校でも「英語で進める」というように明示されるかもしれない。「英語の授業は英語で」が求められるのは,目的・場面・状況に応じて英語をコミュニケーションのツールとして使っていくことが児童・生徒のコミュニケーション能力を伸ばすことにつながっていくからである。もちろん,児童は100%理解しているとは思えなかったが,要点となるところは,よく理解していた。

〇マイケルジャクソンを導入に持ってきて(しかも今日が彼の誕生日!),彼には世界中から誕生日カードが届くことを紹介し,様々な国の文字を紹介したのは良かった。紹介するだけでなく,児童の要望に応じて,中国語,韓国語,アラビア語などを指導者自らが発音して見せたところは驚いた。授業者の授業への意欲が感じられた。日本の外国語教育は英語一辺倒になっているが,折に触れ,外国語は英語だけではないことに気付かせることが大切である。そのことにより,広く言語や文化に関する興味関心を喚起することができる。

〇31~100の数字の言い方を知ることが今日の目標であった。数字を順序よく言わせても,児童は興味・関心がわかない。興味関心がわかないままにやってしまうと,理解も深まらないし,定着も図れない。活動を通して数字に触れさせることが大切。本時の授業では,クイズ形式で数字を言わせた。1回で正解できないところがこの活動の良さで,結果的に,児童は何度も推測しながら数字を言うことになった。児童は楽しみながらクイズをしたのだが,実はそれは「数に親しむ,数の言い方を知る」ことに繋がっていたのが良かった。自然な活動の場面を通すことにより,意味を考えることになり,それが記憶に残る。また,older, younger, higher, shorter などの語彙も自然な場面で導入されていた。本時で定着させるというよりも,繰り返し使ってみせることが重要である。素晴らしい活動であった。

〇「まとめと振り返りで」これまで全体で行っていた活動が個人になった。児童は聞き取った数字を書くことになった。授業後に回収することにより,指導者は児童がどの程度できたのかを把握することができる。

<改善が必要と思われるところ>

〇ALTとのTTであったが,ALTが十分に活用されていなかった。ALTと教師の対話を児童にもっと聞かせる場面があってもよいと思う。指導者の英語力がALTの英語力を超えている場合は,単なる発音の練習として活用するのではなく,例えばクイズのところで,ALTの出身国に関する質問をALT自らに行わせ,文化理解を含めて児童とやり取りさせる場面があっても良かったのではないかと思われる。

〇指導者の英語は完璧であった。しかし,児童に理解させる工夫がもう少し必要だったかもしれない。ゆっくり言ったり,繰り返したり,別の言葉で言い換えたりなどするとよいと思う。指導者にはその力が十分にあるので,高い英語力を,どのように使うかを考えると,もっと良い授業になると思う。また,児童とのやり取りでは,児童の答えに,オーバーに驚いて見せたり,指導者自身が2メート72センチもある人がいることに驚いで見せたりすることが,初歩段階の児童の理解を促進するためには必要である。

〇マイケルジャクソンの誕生日カードに絡めて,どの国の言語かを当てさせる場面があった。とても良い活動であったことは前述したとおりである。さらに改善するとなると,国名を当てさせる時に,この国がどの辺にあるのか,有名なものは何なのかなど,英語のヒントを聞かせたうえで当てさせるなどすると,英語のリスニング力の向上にもつながると思う。

〇活動に加われない児童が数名見受けられたが,これらの児童への配慮も必要かもしれない。しかし,教育実習生には難しいことで,ここまでは求められないと思う。今後の改善のために,活動に加われない児童への声かけなどを行うとよい。最後に指導者の英語を書き取る場面があったが,私が観察していた児童は81と71を間違えて書いていた。となりの児童を見て,書き直した。ふりかえりにも「よくわからなかった」と書かれていた。

〇カルタ取りの活動では,よくWho is the winner? と言って,誰が勝ったかを言わせる授業がある。今回は,勝者が誰だったかを聞かなかったが,それは意図的であったのだろうか。私自身の観察では,カードを取れない児童もいたので,そのような児童のことを配慮すると,勝者をわざわざみんなの前で紹介する必要はないように思う。勝ち負けを決めるよりも,たとえば,できる児童が,やや理解が遅い児童のために,分かっていても相手に先にカードを取らせるようなことができるような活動になることを望んでいる。

☆いつも努力を惜しまず,英語力が高く,いつも他人へのあたたかい配慮を忘れない今回の授業者には,心から敬意を表したい。実習生の授業のレベルをとっくに超えていると思う。今後が楽しみなスーパーティーチャーになることだろう。