2018年11月29日 神村先生の「We can 1, Unit 4」の授業

2018年11月29日,神村先生の6年生の授業を参観しました。教材は「We can !1 のUnit 4」。5年生用の教材ですか,指導者の神村先生によると,前年度にこの単元の内容を実施していないので取り上げたということでした。

【授業の流れ】

1.Sound Tennis(Tで始まる単語を言い合う)

Tennis, Thursday などが出てくる。

全体でやったあとにペアで行う。

Tea, toilet 等がでた。

2.Small Talk(ALTに家での仕事について聞く)

3.Who am I gameを行う。

6年生を担当する3人の担任の先生の写真を電子黒板で写す。

ヒントを聞いて誰のことかを当てていく。

I usually wash the dishes.

I sometimes clean my room.

I never cook dinner.

Who am I?

答えがでたら実際に担任の先生が自分の家での仕事を言う動画を見せる。

4.今日のめあて(家での役割についてインタビューし合う)

5.インタビューをし合う。聞いたことをワークシートにまとめる。

A: Do you wash the dishes?

B: Yes, I sometimes wash the dishes?

A: Do you clean your room?

B: No, I never clean my room.

6.インタビューの感想を発表する。

児童の発表には以下のようなものがあった。

・女の人がよく家事をしているように感じた。こんなところから,大人になって家事をする人が女だと決まるんだと思った。

・Never とsometimes が多かった。

・I cook dinner. がsometimes が多かった。

・Cook dinner が以外といなかった。

7.振り返りカードへの記入

【良かった点】

①本時の目標である頻度を表す語(usually, sometimes, never)を学年の先生方が家でやっている仕事を紹介するという形のクイズにしたのは良い考えだったと思います。また,回答は実際に本人がVTRに登場して,その答えを英語で言っていました。学年を巻き込んだ授業づくりになっていたことが良かったと思います。このようなVTRを作成しておくと,いろいろな場面で編集して使えることもありますので,教材としてストックしていくとよいと思います。

②授業者が児童と「対話」をしながら授業を進めていたこともよかったと思います。おそらく,この小学校の特徴だと思いますが,どの教科においても,対話型の授業がなされているように感じます。また,クラスには支持的風土が醸成されています。他教科でも行っている「対話型」の授業をうまく英語の授業にも取り入れていることが良かったと思います。

③指導者は終始,適切な声量と,場に合わせた英語を使っていました。落ち着いた授業展開でした。

④電子黒板(動きがあるもの)と黒板(貼っておいて,絶えず参照するもの)の長所を活かした使い方がなされていました。

【今後の課題】

1.Sounds TennisでTで始まる単語を言わせました。Tennis, tea が出るのはよくわかるのですが,Thursday が出たのには驚きました。繰り返し見ているので発音は/t/ではないのですが,Tで始まることを覚えていたのでしょう。文字を繰り返し見ることによって,音と文字の結びつきについても慣れ親しんでいくのだと思いました。

全体で取組ませたあと,ペアでも取り組ませたのですが,児童によっては難しい活動であることも分かりました。Tで始まる語が一語も出ない児童もいました。これは全体での活動にとどめて,分からない児童が「自分にはできない!」という感情を持たないようにする配慮も必要かもしれないと思いました。決してやさしい活動ではありません。このような難しい活動は全体で行い,文字と音の関係に負担なく慣れ親しませることが大切ではないかと思います。

2.3人の先生の家での役割を「Who am I game」にしたのは良い考えだったと思います。他のクラスの担任の先生が普段どんなことを,どのような頻度でしているかを知るよい機会になったようでした。しかし,児童の興味はclean my roomや,cook dinnerなどに向いていて,頻度(usually, sometimes, never)などには向いていないように見えました。

3.児童がインタビュー活動を行いました。洗濯している絵や,掃除をしている絵がついたワークシートを用いて活動をしているので意味の理解は容易だったと思われます。児童の活動をみているとDo you wash the dishes? と訊かれて I sometimes までは答えられたのですが,その後が続かないことが多くありました。ここでは,get the newspaper, take out the garbage, water the plantsなどが出てきますが,それらの表現に慣れ親しませないうちに頻度を表す語を入れるのは難しいと感じました。簡単に言うとget the newspaper の表現が十分に言えるようになった後だと,頻度を表す語(usually, sometimes, never)の導入がスムーズにいくのですが,get the newspaper がうまく言えない段階だと頻度を表す語を導入しても,児童がそれをintake するのは難しいということです。言語習得の教科書に書いているとおり,十分に慣れ親しんだものの上に新しいものを追加した時に,それに注意が向き習得が可能になります。このように考えると,この教材自体がかなり難しいことを要求しているようにも思われました。もし,頻度を表す語に注意を向けさせることが目標なら,質問は Do you clean you room? のみにして,答えをalways, usually, sometimes, never から選ぶようにすればよいかもしれません。例えば以下のような感じです。

A: Do you clean your room?

B: Sometimes.

こうすると児童の注意はalways, usually, sometimes, neverに集中することになり,頻度を表す語についてのintake もスムーズに進むのではないかと思います。

3.インタビューの感想で,「女の人がよく家事をしているように感じた」というのがありました。これは他教科でも学習した内容だったのか,それともこの授業をとおして発見したことであったのかはよくわかりませんでした。いずれにしても,このようなことを外国語活動を通して学ぶ(発見する)ことは内容重視の授業展開になっている証拠で,望ましいことではないかと思いました。「Cook dinner が意外といなかった。」と感想を述べた女児がいましたが,私自身はdinner をつくらない児童が多いのが当たり前だと思っています。ひょっとしてこの女児は母親の仕事(夕食の準備)を一手に引き受けているのかもしれないと逆に不安になりました。子どもの貧困が社会問題化しているなか,この発言をした児童について,しっかりと注意して見ていく必要があると感じました。