9月16日:Kさんの授業

2010年9月16日
3年4組

単元:Working as a Volunteer, 5-3, Sunshine English Course

Kさんの授業

10:00~
○自分の好きなコメディアンの写真を見せて“They make me happy. Tell me what makes you happy.”と聞きました。“Rainbow makes me happy.”と一人の生徒が答えましたが,いきなり質問されたという感じでした。そして文を作って発表したのは一人だけでした。英語の授業では,“ウォーミングアップ”がとても大切です。アルコールが入ると,気分も楽になり,話もスムーズ(?)になります。これは,言葉は気持ち(どんな気持ちでいるか)と繋がっていることを表しています。英語を話すことは,どんな場合でもプレッシャーがかかるものです。英語の授業では,生徒が間違いを恐れずに,気楽に英語を話せる雰囲気づくりが必要です。また,授業者の例は一つだけでなく,もう少し出してもよいと思いました。先生の例を沢山聞くと,生徒はそれらの例を活かしながら自分の文が作りやすくなります。自分で考えて文を作る時に生徒は最も意欲的になります。作った文を利用して生徒と先生の以下のような会話も可能になります。

Miki: Hana makes me happy.
Teacher: Why does Hana make you happy, Miki?
Miki: Because she is always very kind to me.

○“What makes Mr. Saito happy? We are going to learn what Mr. Saito makes happy.”と言って内容に入って行きました。“Look at this picture. Who is he? What language is he speaking? How does he look? Do the people in Papua New Guinea speak English? So he understands what Mr. Saito speaks. Does he look happy? How does he look. They can communicate each other. They are his students. They become very friendly. ”などと内容について話しをしました。とても良かったのですが,授業者に余裕がなく,生徒とインタラクションすることがほとんどできませんでした。生徒の顔を見ながら,もう少しゆっくり,必要なら繰り返したりしながら,本文のイントロダクションをやって欲しかったと思いました。 最後に“Any questions?”と聞きましたが,生徒は何を質問してよいのか分からないぐらい授業者の説明が速かったと思います。また,“Any questions?”のあとに,質問を考える時間はほとんどありませんでした。

10:06~
○New words の導入を行いました:Street, effective, international, communication, on the street, ノートに意味を書かせました。その後,フラッシュカードを使って,日本語から英語へ言わせる練習を行いました。語彙の理解を深めるため,(以前にも他の実習生の授業でも言いましたが)Collocationを意識した導入やexample sentences 与えながらの導入が効果的と思います。例えば“street” を導入する時は“main street”というように良く繋がる語と一緒に示します。必要なら Kokusai-dori is the main street in Naha City. や“Yesterday, I met my old friend on the street in Naha City.”などの例文を示すとよいでしょう。Effectiveなら effective communication や effective methodなどを一緒に,international ならInternational Trade Center や International languageなどというように。

○T/F Questions で内容理解のチェックを行いました。“You can take memo.”を連発していましたが,“take memo”ではなく“ take notes ”です。

10:14 ~
○CDを2回聞かせて内容についてT/Fをしました。「何を言っていたかペアで話し合って下さい。」ということでしたが,ここはペアでやる必要はあったかどうか疑問でした。What やHowの 質問で生徒どうしが話しあう必要のある質問ならともかく,このT/Fは一人でやってもよかったのではないかと思いました。また「話し合うように」と指示しましたが,実際には話し合う時間をほとんど与えていませんでした。ペアでやったほうがよい活動,一人でやったほうが良い活動をしっかり峻別することも大切だと思いました。また,CDを聞かせる前に,Questions を先に与えてポイントを絞った聞かせ方もあります。
T/Fで使った英文:①At first Mr. Saito used only Japanese. ②Mr. Saito speaks to his students in pidgin English. ③It’s not important for us to learn the language of the local people.

10:20~
○TFの確認を行いました。

10:22~
○ワークシートに取り組みました。ワークシートの問題文の解説(意味)を先にやりましたが,それは必要でしょうか。問題文自体を生徒に理解させることも大切ではないでしょうか。「問題文を理解していないと解答できないのではないか」という授業者の気持ちも理解できますが,優しすぎると思います。ここはチャレンジさせて欲しいと思いますし,分からないところは隣の人に聞きながらやってもよい事にしてもよいと思いました。(ここはペアでさせてもよいところです。)

10:38~
○黒板に解答させ,確認を行いました。
○ワークシートの(3)の「斎藤さんがみんなに伝えたい大切なメッセージは何かな?」はとても大切だったと思いますが,それをさせなかったのはなぜでしょうか。宿題にするよりもそれを本時の内容理解として皆で確認することが大切だったと思います。

10:44~
○音読の練習を行いました。

最後に:
背面黒板に「里秋先生,がんばって」の横断幕(?)が貼ってありました。生徒が今日は研究授業ということを知って掲げたのだと思います。私は,この横断幕を見て胸が熱くなりました。授業は生徒との信頼関係に基づいて行われます。特に,英語の授業では先生と生徒の関係がうまくいっていないと絶対にうまくいきません。ウォーミングアップのところでも述べたように,アルコールが入ると話しやすくなるのはなぜでしょうか。気持ちと言葉は繋がっているからです。英語がコミュニケーションを目指したものでないなら(受験のための文法学習だったら),生徒の気持ちなど関係ないかもしれません。しかし,コミュニケーション能力を育てることが目標なら,授業でコミュニケーションをしないといけません。嫌いな人とは話がしたくないように,嫌いな先生には話はしたくありません。そういう意味では,生徒との関係をうまく作ることが授業の前提です。「すごい!」と思える先生の授業は,間違いなく生徒との関係がうまくいっています。すごい先生は学級担任(学級経営)としてもすごいです。「里秋先生,がんばって」の横断幕を見て,生徒との関係をしっかり作ったことが伺えました。大学では学べないことの1つが生徒との「関係づくり」だと思います。その点からみると里秋さんの教育実習は成功したと思います。

授業反省会では音読が先か,内容理解が先かというのが議論になりました。私は内容理解をさせたあとに音読をすることが効果的と考えていますが,音読をするうちに分かるようになるという考えもあるようです。「音読⇒内容理解⇒さらに音読」ということも考えられるかもしれません。繰り返し読めば自然に解かるようになるのか,というのは理屈からすると,あり得ないようにも思うのですが,音読しているうちに脳が活性化して解かるようになるということも言われているようです。この点は,今後も検討したいと思います。