2018年南城市のK先生の授業:We can! 1 ,Unit 5
2018年12月18日,南城市にある小学校のK先生の授業を参観しました。5年生の授業で,We can! 1 のUnit 5 「She can run fast. He can jump high.」が教材となっていました。本時は5時間で扱う単元の4時間目となっています。最終的には,身近な学校の先生方を話題にし「できること」「できないこと」など紹介することになっていますが,今日は,その準備をする時間になっていました。授業は以下のように展開しました。
1,アルファベットのチャンツ(帯活動)
2.「He can run fast, She can sing well」の表現に慣れる。(電子黒板)
3.第三者の「できること,できないこと」を表す表現と,その人を表す表現(great, funny, nice, fantasticなど)に慣れ親しませる。
4.前もって作成したクイズカードを使ってペアで練習。
5.振り返りをおこなう。
【授業を参観して】
<良かった点>
この単元は三人称(He, She)が初めて出てくるところです。友達や身近な先生を指してHe, Sheを使うことは,日本語ではあまりないので,簡単そうに見えるが,児童にとっては理解が難しいところである。また,can, can’t も出ており,She is… He is….も出てくる。このUnit 5 自体が難しい内容を含んでいるため,それ以前の学習がしっかりと定着しているかどうか,また,can, やShe is nice. などの表現に慣れ親しんでいるかどうかなどがこの単元を成功させる大切なポイントになるだろう。言い換えると,この単元を難なくこなせるかどうかが,これまでの外国語活動の評価になると考えられます。この難しい単元を指導者は,無理のないように段階を踏ませて,最終的に身近な先生を紹介する活動を通して,He, She, can, can’t などに慣れ親しませる活動を仕組んでいます。よく練られた単元計画となっています。本時は,やや詰め込み過ぎで,児童の活動がスムーズにいくかどうか指導案からは多少不安に感じていましたが,個人差は見られたものの,児童は指導者の準備した活動をよくこなしていたと思います。単元構想力があり,単元から本時の授業が逆向き設計の発想で,しっかりと計画されていたのがよかったと思います。
<検討が必要と思われる点>
①ALTとのティームティーチングなので,ALTをもっと活用する場面があればよかったと思います。例えば,ALTに,HeやShe, can, can’t などを使って,彼自身の友達などを紹介させるとよかったと思います。児童は,実際の場面でHe, She, canなどが使われていることを感じることができます。また,ALTと児童が,Can, やCan’t を使って,もっと「やり取り」をする場面をつくることも可能だったのではないかと思いました。日本人指導者が一人でもできるような授業になっていて,ALTを十分に活用した授業とはなっていなかったのが残念でした。
②専科としての授業であり,自分の担任するクラスではないため,「〇〇さんは野球ができるんだよね」とか「〇〇さんはピアノが弾けるんだよね」等の発言がありましたが,児童と指導者の間に,担任が築いているような十分な人間関係ができているとは言えないように見受けられました。これは,専科教師の限界のようなもので,一概に指導者を責めることはできないと思います。それを,いくらかでも解決するのが,担任を授業に巻き込むことだと思います。担任の先生から直接 Satoshi can play the piano very well. と言われると,児童はもっと嬉しいのではないかと思いました。
<今後の課題>
①上述したように,ここは指導が難しい単元と思います。Can が出てきたために,She is nice. と言えていた児童は,She can nice. という間違いを犯してしまいます。今日も,そのように言っていた児童が数名いました。これまでwent と言えていた学習者が,過去形の規則動詞を習ったとたんに,goed という間違いをするのに似ています。このような間違いに対しては,指導者がShe is nice. と言い直して(recast),間違いに気付かせるような教師のフィードバックが,今後は必要となってくるかもしれないと思いました。