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教育学部附属中学校第35回入学式

2019年4月9日 - 4:25 PM

本日(4月9日)琉球大学教育学部附属中学校の入学式が行われました。私も来賓として招かれ,学部長が別件で出席できなかったため,教育学部を代表して来賓祝辞を述べる機会が与えられました。普通はこのような場合,学部長の祝辞を預かり代読するのですが,私たちは,学部長が出席できない場合は副学部長が学部を代表して挨拶することにしています。そういう訳で,今日は私が学部を代表して挨拶することになりました。

附属中学校の入学式で感動的だったのは,何と言っても在校生の入学式に参加する態度です。式の間,在校生の席からは咳一つ聞こえませんでした。シーンと静まり返っています。これは,最大級の新入生に対する歓迎の気持ちの表れであり,挨拶する人への配慮です。教員がついているわけでもなく,注意する姿も全くありません。中学生で,あのような立派な態度が取れることに驚くと同時に大人のほうが見習うべきではないかと思いました(笑い)本当に感動的でした。

私の挨拶の原稿は以下のとおりでした:

本日は,誠に恐縮ですが,副学部長の大城が教育学部を代表してご挨拶させていただきます。

新入生のみなさん,本日はご入学おめでとうございます。みなさんは今日からは琉球大学附属中学校の1年生です。たくさんの希望と大きな夢を胸に,附属中学校の門をくぐったことと思います。中学校は自立の時期とも言われています。自分で考え,自分なりの答えを探し,行動する必要があります。

さて,そこで,さっそくですが,みなさんに一つ質問をします。「戦争」の反対は何でしょうか?「平和」でしょうか?私も「平和」と思いました。しかし私が先日読んだ本の中には「戦争・暴力の反対語は、平和ではなく対話です」と書かれていました。読み進めていくと「対話のない社会はいつか病み、犠牲者を出し、平和はあるとき、あっけなく崩れてしまう」と書かれていました。現在の世界を見てみると,とても残念ですが,戦争や紛争,そして暴力などが起こっています。身近なところでは友達との断絶,いさかいなども起こっているかもしれません。

この本の著者は,これらの問題は全て「対話が欠けていたからだ」あるいは「対話能力を持っていないからだ」または「はじめから対話をする気がないからだ」と述べています。

みなさんが活躍する21世紀は言語や文化や価値観の異なる多くの人々とこれまで以上に出会う機会が増えることは確実です。そんな時に平和に生きていくためには,お互いの考えや気持ちを伝え合う対話は絶対に必要となります。対話は一方的に話すスピーチではありません。考えや気持ちをやり取りする行為です。

これからすぐに新しい教室に移動し,友達や先生と出会います。ぜひ,自分から声をかけて対話をしてみてください。そしてこれからの中学校生活においても,たとえ相手と考えが異なっていても,粘り強く対話を続けることができるように努力してみてください。対話の力が,戦争を避け,私たちが平和に穏やかに生活を送る最大の手段だと私は考えています。

さて,保護者の皆様,本日はお子様のご入学,誠におめでとうございます。附属中学校は他の公立学校とは異なる3つの役割を持っています。一つ目は大学の教員と一緒に共同研究を進めること,二つ目に,研究の成果を活かして公立学校のモデルとなること,三つ目に,教育実習の受入校となり,将来,教員を目指す学生を指導することです。その役割を担っている学校は沖縄県内ではただ一つしかありません。その役割を果たすためには,公立学校では当たり前に行われていることが,附属学校では行われないかもしれません。また,その逆もあるかもしれません。公立学校と異なっているからこそ,附属学校の存在意義があります。どうか,そのことをご理解いただき,附属学校へのご協力をお願いいたします。もちろん,本日,大切なお子様をお預かりしました。教育学部の教員も附属学校の教員と一丸となって新入生の学びと育ちを支えていきたいと考えています。

新入生のみなさま,みなさまの中学校生活が楽しく,有意義なものとなることを願って,教育学部代表の挨拶とさせていただきます。

ありがとうございました。

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