2018年7月13日 仲村姫園先生の授業
2018年7月13日
豊見城中学校3年6組
授業者 仲村姫園
【導入】
〇挨拶の後に,本単元の指導事項である現在完了形組み込んだsmall talk を行った。仲間由紀恵が双子の子を出産したこと,また,授業者と仲間由紀恵は同じ琉球舞踊の教室に通っていたことなどが話された。その後,生徒との「やり取り」が行われた。Small Talk の典型的な例で,とても良かった。
〇毎時間の帯活動としての生徒同士のQ&Aが行われた。現在完了形を使った対話を行うというもので,細長い紙に,例えばHave you ever been to Churaumi Aquarium? などと書いており,それを使って相手に質問し,相手がそれに答えるというものである。基本文型の定着を図る活動となっていた。
〇Description Activity:ペアで活動を行う。一方のペアが電子黒板に写されたモノなどを見て,それを見ていないもう一方のペアに伝える活動であった。例えば,沖縄の「ちんすこう」を見ている一方のペアが,This is Okinawan cookies. などとヒントを出して相手に答えさせるというものであった。
【展開】
〇本時の「めあて」(交換留学生に沖縄のおすすめスポットを英語で紹介することができる)を確認した。そして,授業のヘルプに入っていた先生とペアでモデルを示した。
〇交換留学生の役割と中学生の役割になって「やり取り」を行った。活動は以下のように行われた。
①交換留学生の役割(A)が中学生の役割(B)に状況を説明し,お薦めスポットを聞き出すやり取りを始める。BはAとやり取りしながらお薦めスポットを紹介する。
②Aが席を移動し,同じ活動を別の生徒と行う。
③AとBの役割を変えて同じ活動を2回行う。合計4回の「やり取り」が相手を変えて行われた。
〇中間評価が行われた。会話を続けることができたことや,By the wayなどのつなぎ言葉がよく使われていることが評価された。
〇その後,再び,①~③の活動が行われた。
【まとめ】本時のまとめと振り返りを行った。
【この授業の良かったところ】
〇授業が初めから終わりまで英語で進められていた。かなり早いスピードの英語であったが生徒はよく理解していた。授業を英語で進めるということは,英語をリアルな場面で,本物のコミュニケーションの手段として使うということである。教室が教師の英語を十分にインプットする機会となっていたところは良かった。
〇教師と生徒,生徒同士の「やり取り」を授業の中で何度も繰り返し行わせた。もちろん,その「やり取り」は,単語レベルであったり,文法的には問題と思われる表現もあった。ほぼ,即興に近い「やり取り」であったので,文法的な正確さを求めすぎることは,生徒にとってはハードルが高い。しかし,そのままにしておくと,「それでよい」と思ってしまう。少しずつ,正確性も高めていかなければならない。授業者は,生徒の意欲をそがないように,例えば。Kokusai street is many, many, many, souvenir stores と発話した生徒に,There are many souvenir stores. という表現などを紹介していた。このように,文法的に正確な表現を,実際に英語を使用する場面で適宜導入することを行えば,生徒も活用レベルでの正確性を身に付けることが可能になる。まずは伝えることを重視しながら,正確性への配慮も教師は忘れていなかった。そのような態度を見せることが,生徒同士が会話する時にも,お互いの文法をチェックし合う態度を養成していくものと思う。もちろん,正確性を重視し過ぎて,話せなくなったら元も子もない。あくまでコミュニケーションが先で,次に文法的な正確性に配慮するということを考えたい。また,知識レベルの文法の指導ではなく,活用レベルの文法の指導は,どのような表現やミスが出てくるのかは予測できない。教師の側にも高い英語力が求められる。
〇生徒の興味関心を引く教材や授業づくりがとてもよくできていた。対話をするためには,教室が明るい雰囲気でなければならない。ギスギスした雰囲気では日本語であっても発言するのは難しい。教室が心地よい環境になっていたことがとても良かった。教師も英語を話しているが,その内容がユーモアに富んでいて,常に生徒の笑いを誘うものとなっていた。
【今後検討するとよいと思うところ】
〇生徒へのモデルとなるような英語の使用が求められると感じるところがあった。例えば,留学生と中学生の対話を行うモデルとして,二人の教師が対話をして見せた。二人とも英語教師であるため,当然であるが,英語も少し早く,また,内容も基本的なダイアログとは言えないほどに拡散していった。自然な対話と言われるとその通りであるが,生徒のモデルとしては難しすぎた。難しくなり過ぎず,基本的は表現を繰り返して,生徒にも,このような表現をうまく使うと対話が続くことを示すようなつもりで行うともっとよかったと思う。
〇同じようなことになるが,Picture descriptionのところでも,「ちんすこー」を説明するにはどういう風に言ったほうがもっと適切かを,生徒の発話の後に,教師がインプットしてあげるとよかった。生徒の表現を豊かにするのは,教師のインプットがカギとなる。自由に話させると不完全なものが出てくるのは当然であるが,その不完全な英語を完全な英語にして生徒に戻していくことが大切である。中学校3年生にもなれば,内容面とともに,言語面での深まりを目指すことも大切である。