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外国語活動における「言語活動」

2018年9月18日 - 11:56 AM

新しい学習指導要領(外国語活動)では,「思考力,判断力,表現力等」や「知識及び技能」,「学びに向かう力,人間性」は,「言語活動」を通して指導することが示されている。つまり,言語活動は「資質・能力」を育成する核となるものである。

「言語活動」という言葉は従来も使われており言語材料についての理解や練習なども「言語活動」に含まれていた。しかし,今回はこの「言語活動」が再定義されている。「外国語活動・外国語研修ガイドブック」(文部科学省)には,「言語活動は,『実際に英語を用いて互いの考えや気持ちを伝え合う活動』を意味し,言語材料について理解したり練習したりするための活動とは区別されている」と述べられている。

従来の「言語活動」は理解や練習だけで終わっていたことが多かったと思われる。テキストの対話を覚えて発表させるだけの活動等は,これからは言語活動とは言わないのである。なぜなら,そこには「互いの考えや気持ち」が含まれていないからである。

言葉の本来の役割は「自分の考えや気持ち」を相互に伝え合うことである。外国語といえども言葉に変りはない。したがって,「言語活動」の再定義は,言葉の本来の役割を体験させることに他ならない。当然,自分の考えや気持ちを伝えるには,どのような表現等を使えばよいのかを「思考・判断」することが求められる。そして考えや気持ちを伝え合うために「知識・技能」も活用される。さらに,考えや気持ちを伝え合う経験を通して「主体的に外国語を学ぼうとする態度」は育成される。単に文法を理解したり,覚えたことを言うだけの活動からは,これらの「資質・能力」はいずれも育成することはできない。そのためには指導者も自分の考えや気持ちを外国語で伝えることが求められる。そのような指導者の下でこそ自分の考えや気持ちを伝えたいと思う児童が育つのである。

「説明や練習」を通してではなく「言語活動」を通して指導に当たることが今回の学習指導要領の目標を実現させるための鍵である。

 

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