Posted in 日々の想い

絵本の可能性

2018年7月17日 - 10:18 PM

絵本の可能性

文部科学省では小学校中学年用の教材として絵本 (In the Autumn Forest, Good morning) を制作しました。小学校3年生と4年生で活用が検討されており、現在、研究開発学校などで教材の検証が行われています。

さて、6月18日~19日、東京で日本児童英語教育学会全国大会が開催されました。私も参加しました。様々な研究発表がありましたが、絵本に関する研究発表が2本、また、絵本に関するワークショップが1本あり、大変勉強になりました。中でも印象に残ったのがC大学教育学部附属小学校での実践でした。C大学附属小学校の低学年では週に20分という短い時間の活動しかありませんが、その短い時間の中に、絵本をうまく取り入れていました。絵本を活用することで、児童は自然な場面設定の中で英語の表現に出会います。また、繰り返し聞くことによって、その表現に慣れ親しんでいきます。それらを踏まえて、無理のない表現活動に移っていくという流れです。当日は‟What’s in my lunch box” という絵本の実践例が示されました。この絵本はゾウさんやほかの動物たちが「縄跳び」をしているところから始まります。

Jump rope, jump rope, will I miss?
Jump rope, jump rope, just watch this!
Oh, I am hungry.
Let’ eat lunch!
Look, here are our lunch boxes.
Which one is mine.
Where is mine?
Of course it is mine.
Whose is this? …..

「縄跳びをしてお腹がすいたのでランチにしよう、それが僕の弁当かな・・・」絵があるので内容も類推しやすいです。そして英語の表現に十分に慣れ親しんだ後に、その中から活動で取り上げる表現や語彙などを用いて活動を行います。

この活動を年間20分×27回(45分授業に換算すると12時間)を実施し、児童にインタビューテストを実施したところ、かなりの効果があることが分かりました。絵本の有効性が証明されたということです。

因みに、この研究を発表されたのはC大学教育学部准教授のM先生という方です。実際に附属小学校へ出かけていき、担任の先生と一緒になって授業を実施し、研究の成果を検証したそうです。大学の教員が現場にどっぷりつかり、実際に授業をして、そこから生み出された研究ですから説得力もあります。大学の先生は、データをとったり、他人の授業を数回観察したりして研究データを集めることは多いのですが、自ら1年間にわたり授業をしながらデータを集めるようなことはあまりしません。また、M先生は現場を実際に見ることが大切と考えていることもわかりました。フィールドワークを大切にするということですね。研究者の姿勢としても見習うことが多い発表でした。私も附属小学校で週1回ぐらいは教えてみたいと思っているのですが、いまだに実現していません。(私よりも、ずっと附属小学校の先生のほうが、授業が上手いので入る余地がありません・・・)(2016年6月27日)

Leave Comment